必要保障額=遺族の支出の合計 − 遺族年金の合計 − 貯蓄などで計算します。団信付きの住宅ローンは死亡時に完済されるので、支出からローン返済を外せます。会社員・妻と子2人の試算では、団信を反映するだけで必要保障額が約4,476万円→約2,100万円と半分以下になりました。
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「生命保険はいくら入ればいいのか」は、保険のご相談で最も多い質問です。答えは家族ごとに違いますが、計算の手順は同じです。ポイントは、会社員なら遺族年金がかなり出ることと、住宅ローンは団体信用生命保険(団信)で消えることの2つを先に差し引くこと。この2つを忘れると、必要以上の保険に入ることになります。
1. 必要保障額の計算式
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| ①遺族の支出 | 生活費×年数+教育費+住居費+その他(葬儀費用など) |
| ②遺族年金 | 遺族基礎年金・遺族厚生年金・中高齢寡婦加算の合計 |
| ③今ある備え | 貯蓄・死亡退職金・勤務先の弔慰金など |
| 必要保障額 | ①−②−③(マイナスなら死亡保障は原則不要) |
団信付きの住宅ローンがある場合、①の住居費は「ローン返済額」ではなく「管理費・修繕積立金・固定資産税など」で数えます。
2. 遺族年金はいくら出る?(令和8年度)
会社員(厚生年金の加入者)が亡くなり、子のある妻が受け取る場合の年額の目安です。
| 平均標準 | 子1人 | 子2人 |
|---|---|---|
| 30万円 | 年約146.1万円 (月約12.2万円) | 年約170.5万円 (月約14.2万円) |
| 40万円 | 年約158.4万円 (月約13.2万円) | 年約182.8万円 (月約15.2万円) |
| 50万円 | 年約170.8万円 (月約14.2万円) | 年約195.2万円 (月約16.3万円) |
内訳は、遺族基礎年金847,300円+子の加算(1人目・2人目は各243,800円、3人目以降は各81,300円)と、遺族厚生年金(亡くなった方の報酬比例部分の4分の3)です。遺族厚生年金は平均標準報酬額30万円で年約37.0万円、40万円で約49.3万円、50万円で約61.7万円です。
※加入期間がすべて2003年4月以降(乗率5.481/1000)で、在職中の死亡のため加入期間を300月とみなす場合の概算です。平均標準報酬額は賞与を含む年収÷12がおおよその目安です。実際の額はねんきん定期便や年金事務所で確認してください。
子が18歳の年度末を過ぎると減る
遺族基礎年金と子の加算は、子が18歳になった年度の3月31日を過ぎると終わります(障害等級1・2級の子は20歳まで)。その時点で妻が40歳以上65歳未満なら、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算(年635,500円)が65歳まで加わります。
なお、2028年4月から遺族厚生年金の見直しが予定されています。子のない配偶者への給付は原則5年間の有期給付になり、中高齢寡婦加算も施行後の新規受給者について段階的に縮小される予定です。若い世帯ほど前提が変わる可能性があるため、数年ごとの見直しが欠かせません。
3. 団信で何が変わる?
団信は、住宅ローンの契約者が亡くなったり所定の高度障害状態になったりしたとき、ローン残高を保険金で完済する保険です。民間の住宅ローンではほぼ加入が前提になっています。遺族は返済のない家に住み続けられるので、必要保障額の計算から「毎月の返済額×残り年数」がまるごと消えます。
- ペアローン:亡くなった人の持分のローンだけが完済され、配偶者側のローンは残ります(ペアローンの注意点)。
- 収入合算(連帯債務):団信の対象が主債務者だけの場合、配偶者が亡くなってもローンは残ります。
- フラット35:団信への加入は任意です。加入していなければ、ローン残高も必要保障額に入れます。
4. 試算例:会社員・妻と子2人の世帯
夫35歳(会社員・平均標準報酬額40万円)、妻33歳(専業主婦)、子3歳と1歳、住宅ローン残高3,000万円(団信付き・返済月約9万円)の世帯で、夫が今亡くなった場合を、末子が22歳になるまでの22年間で計算します。
| 項目 | 団信を | 団信を |
|---|---|---|
| 生活費 (22年間) | 月25万円 約6,600万円 | 月16万円 約4,224万円 |
| 教育費 | 約2,000万円 | 約2,000万円 |
| ①支出の合計 | 約8,600万円 | 約6,224万円 |
| ②遺族年金の合計 | 約3,624万円 | 約3,624万円 |
| ③貯蓄 | 500万円 | 500万円 |
| 必要保障額 | 約4,476万円 | 約2,100万円 |
②の遺族年金は、1〜15年目が年約182.8万円(子2人)、16〜17年目が年約158.4万円(子1人)、18〜22年目が年約112.9万円(遺族厚生年金+中高齢寡婦加算)で、22年間の合計は約3,624万円です。同じ家族でも、団信を入れ忘れるだけで約2,376万円の保険を余計に買う計算になります。
※生活費・教育費・貯蓄は説明のための仮定です。妻が働いて収入を得る場合や、死亡退職金がある場合は必要保障額はさらに下がります。妻自身の老後資金は含めていません。遺族年金は現行制度・令和8年度の額で計算しています。
5. 見落としやすい3つの点
- 必要保障額は毎年減る:子が大きくなるほど残りの支出が減るため、必要保障額は年々小さくなります。一定額の死亡保障より、期間とともに受取額が減る収入保障保険のほうが形が合いやすいのはこのためです。
- 住宅ローンを見直すと前提が変わる:借り換えや繰上返済で団信の内容や残高が変わったら、保険も一緒に見直します(住宅ローン控除と繰上返済どっちが得?)。
- 病気・ケガで働けない場合は別計算:団信の基本保障は死亡と所定の高度障害です。働けない期間の収入減は、傷病手当金や障害年金と合わせて別に考えます。
6. よくある質問
A. 「遺族がこれから必要とする支出の合計」から「遺族年金の合計」と「貯蓄・死亡退職金など」を差し引いた不足分が必要保障額です。住宅ローンに団体信用生命保険(団信)が付いていれば、死亡時に残高が完済されるため、支出からローン返済額を外して計算します。
A. 団信付きの住宅ローンなら、むしろ減ります。死亡時に残高が完済され、遺族の住居費は管理費や固定資産税などだけになるためです。この記事の試算例では、団信を反映するだけで必要保障額が約4,476万円から約2,100万円に下がりました。
A. 令和8年度の額で、平均標準報酬額40万円・子2人の場合は年約182.8万円(月約15.2万円)が目安です。遺族基礎年金847,300円+子の加算243,800円×2人と、遺族厚生年金(報酬比例部分の4分の3・在職中の死亡は300月とみなす)を合計した概算です。
A. 遺族基礎年金は、子が18歳になった年度の3月31日を過ぎると終わります。その時点で妻が40歳以上65歳未満なら、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算(年635,500円)が加わります。なお2028年4月から遺族厚生年金の見直しが予定されており、中高齢寡婦加算は施行後の新規受給者について段階的に縮小される予定です。
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保険の見直しを出典:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」/日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」/日本年金機構「令和8年4月分からの年金額」
本記事は一般的な試算の目安であり、特定の保険商品の勧誘を目的とするものではありません。遺族年金の受給要件・金額は個別の加入記録によって異なります。(執筆:株式会社アールラボ)