「株式や不動産の売却でまとまった利益が出たら、税金が大きく変わると聞いた」——令和8年度税制改正で、超高額所得者を対象とした「ミニマムタックス」の強化が決まりました。2027年分の所得から適用されるこの改正は、これまで「一部の超富裕層の話」と思われていた制度の射程を広げるものです。この記事では制度の基本と、何が変わるのかを整理します。
1. ミニマムタックスとは何か
上場株式の配当・譲渡所得には一律20.315%の税率が適用されます。給与所得などは所得が増えるほど税率が上がる累進課税である一方、金融所得は一定税率のため、所得が1億円を超えたあたりから、かえって実効税率が下がっていくという逆転現象が指摘されてきました。これがいわゆる「1億円の壁」です。この是正を目的に、2025年分の所得から「ミニマムタックス」(正式名称:極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置)が導入されています。
2. 現行制度(令和7年分〜)の仕組み
現行の計算方法
基準所得金額−3.3億円(特別控除額)× 22.5%(税率)>通常の所得税額のとき、その差額を追加納税
基準所得金額には、申告不要制度を適用した上場株式の配当・譲渡所得も含まれます(NISA等の非課税所得は除外)。つまり、基準所得が3.3億円を超えない方には影響しない制度としてスタートしています。
3. 2027年分からの改正内容
| 項目 | 現行(令和7年分〜) | 2027年分(令和9年分)〜 |
| 特別控除額 | 3.3億円 | 1.65億円(半減) |
| 税率 | 22.5% | 30% |
控除額が半減することで、これまで対象外だった基準所得1.65億円〜3.3億円の層も、新たに制度の対象に入りうるようになります。加えて税率も22.5%から30%へ引き上がるため、対象となった場合の追加負担額も大きくなります。
※基準所得1.65億〜3.3億円というのは、毎年継続的に発生する所得とは限りません。自社株や保有不動産の売却など、一時的な要因でその年だけ高額所得となるケースも対象に含まれる点に注意が必要です。
4. 誰が新たに対象になりうるか
経営者が自社株を売却して事業承継やM&Aを行うケースや、相続した不動産をまとめて売却するケースなど、「その年だけ一時的に所得が大きく膨らむ」場面は珍しくありません。控除額が半減したことで、こうした売却を予定している方は、従来より低い所得水準でも試算しておく必要が出てきます。
- 自社株・非上場株式を売却予定の経営者・オーナー
- まとまった不動産売却を予定している方
- 複数年分の株式譲渡益が特定の年に集中する見込みの方
5. 今からできること
売却のタイミングを分散する、売却年の他の所得とあわせて試算する、といった対応は個別の資産状況によって効果が大きく異なります。「自分は対象になりうるのか」を早めに試算しておくことが、選択肢を広げる第一歩です。
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6. よくある質問
Q. ミニマムタックスとは何ですか?
A. 基準所得金額が一定額を超える人に対し、通常の所得税額が一定の追加負担額を下回る場合に、その差額を追加で納税させる制度です。株式譲渡益など金融所得の税率が一律であるために生じる「所得1億円超で実効税率が下がる」現象(いわゆる1億円の壁)を是正する目的で、2025年分所得から導入されました。
Q. 現行のミニマムタックスの内容はどうなっていますか?
A. 基準所得金額から3.3億円を控除した額に22.5%を乗じた金額が、通常の所得税額を上回る場合、その差額を追加納税します。基準所得金額には申告不要を選択した上場株式の配当・譲渡所得も含まれますが、NISA等の非課税所得は除外されます。
Q. 2027年分からはどう変わりますか?
A. 令和8年度税制改正により、2027年分所得から特別控除額が3.3億円から1.65億円へ半減し、税率が22.5%から30%へ引き上げられます。控除額が下がることで、対象となりうる人の範囲が広がります。
Q. 誰が新たに対象になる可能性がありますか?
A. 控除額の半減により、自社株の売却や不動産売却などで一時的に高額な所得を得た人も対象になる可能性が出てきます。従来は超富裕層に限られていた制度の射程が、より幅広い層に広がる点に注意が必要です。
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出典:国税庁「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置」関連資料/各種令和8年度税制改正大綱の解説記事
本記事は2026年9月21日時点で公表されている税制改正大綱の内容をもとに作成した一般的な情報提供であり、特定の税務相談や金融商品の勧誘を目的とするものではありません。個別の税額計算・申告については税理士等の専門家にご確認ください。今後、国会審議により内容が変更される可能性があります。(執筆:株式会社アールラボ)